130万円の「収入の壁」とは?
続いては130万円の「収入の壁」です。これは社会保険(健康保険と厚生年金保険)の扶養認定の収入要件のことです。年収130万円未満で、被保険者によって生計を維持されていれば、被扶養者となれます。この壁を越えるかどうかで家計負担は「天国と地獄」くらいのインパクトがあります。
健康保険制度におけるメリット
健康保険の被扶養者分の保険料負担は基本的にありません。それは、健康保険の保険料はサラリーマンである配偶者の収入が計算の基礎になっているからです。被扶養者がいることで扶養手当分の収入が増えて、その分の保険料負担が増加するというケースは考えられますが・・・。こういったケースはあくまで間接的な要因です。
国民年金制度におけるメリット
また、扶養認定されれば、公的年金制度においても「国民年金第3号被保険者」となります。すなわち国民年金保険料の負担が0円になります。年金受給の際には国民年金保険料を納付していた評価を受けます。したがって、「負担なくして給付あり」というメリットを享受できます。
130万円の「収入の壁」には賛否がある
国民年金3号被保険者が制度として導入されたのは35年以上前です。・・・1986年だったと思います。ですから、その当時と現在では社会情勢が大分変っています。最近では共働き世帯が増えたことや、自営業者(国民年金代1号被保険者)と比較して不平等という声も耳にするようになりました。また、制度導入当時は女性の働き方を家計補助として位置付けていました。130万円の「収入の壁」の範囲内でのメリットを享受するには、働き方を制限する必要が生じてしまいます。このことは、女性の社会進出を阻害している側面があるとの批判があります。制度を見直す時期だと言われているのはこういったことが背景にあるからです。